「心おどる、瞬間を。」を掲げ、日本初のショッピング専門チャンネルとして、24時間バラエティ豊かなアイテムを販売しているジュピターショップチャンネル株式会社。日々、様々な商品が正確かつ迅速に人々の手元に届くのは、物流センターという基盤があってこそ。

そんなジュピターショップチャンネルが千葉県習志野市を中心としていた拠点を集約し、今年4月に南船橋市の新しい物流センターへ移転。物流業界の抱える人員不足という課題を解決すべく、「省人化」を目的とした新拠点立ち上げの立役者となったのが、物流本部 物流企画部 企画グループの武井純さん。同社の物流コンサルティングパートナーとして立ち上げに参画したCAPES代表・西尾浩紀とともに、最先端技術を詰め込んだ物流センターならではの立ち上げの難しさ、その誕生の道のりを振り返りました。

CAPESとの週1回の“壁打ち”で、新しい物流センターへの考えを整理

―新たな物流センターの特徴を教えてください。

武井:ここは2022年4月にオープンしたばかりで、他の物流センターと比べて、なるべく人員数をかけずに稼働させることをコンセプトにしています。高齢化社会になり、どの業界も労働力が不足していますが、物流業界は特に、求人募集をしてもなかなか人が集まらず、集まったとしても長く継続して働いていただけないという大きな課題があります。なので、少人数でも動かせる物流センターを立ち上げよう、そのための最先端の施設にしようということが大きな目的になっています。

ジュピターショップチャンネル株式会社・武井純さん

―具体的にどのような部分で省人化を図りましたか?

武井:基本的に専門性が必要ない工程を機械化しました。また、大型の物流センターなので、スタッフがなるべく歩かず済むような仕組みにしました。今までは歩いて商品の在庫を取りに行っていましたが、新しい物流センターでは、GTP(グッズ・トゥ・パーソン)といって、機械によって在庫がスタッフの前に来るようにして、それを集めて出荷する、という形にしています。CAPESには、庫内のレイアウトや、マテハンメーカーさんや3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)業者のテスト内容のレビュー、スタッフのオペレーション変化に伴う指導など、総合的にサポートしていただきました。

―立ち上げの構想はいつ頃からあったのですか?

武井:高齢化や人員不足が慢性的に発生している中で、省人化をコンセプトにした物流センターの構想は前からありました。それが2018年くらいから具体的に動き始め、2019年夏くらいからCAPESに参画していただきました。これまで現場改善などでは他社にコンサルをしていただいたこともありましたが、西尾さんは、私たちと同じような大規模物流センターの立ち上げ支援の経験も多いので、いろいろな事例を共有していただきました。

物流センター内の様子。

※庫内サインのデザインについての記事はこちらから。

―長期的なプロジェクトになると思うのですが、CAPESの関わり方も都度変化していたのですか?

西尾:まさに、立ち上げプロジェクトのフェーズごとに必要なものや考え方が変わっていくので、私たちの関わり方も流動的でした。最初期は、以前の物流センターに行って、ジュピターショップチャンネルの皆さんの会議に私も参加して意見を話していました。具体的に方向性が決まったら、どういう設備が必要でどのマテハンメーカーのものを選ぼうという調達の手段を決めていく。ディスカッションから、資料作成や数値分析、資料のレビューなど、実務的な部分まで伴走させてもらいました。

武井:西尾さんは本当に良き壁打ち相手。週1回、新しい物流センターに対しての私の考えを伝えて、第三者として的確に打ち返してくれていました。それを繰り返していくことで、私の中でも方向性が整理されていきました。

入社当時から抱いていた「いつか物流センターを立ち上げたい」という思い

西尾:現場のプロである武井さんの思いに対してどんなサポートができるか考えると、他社の事例をはじめとするジュピターショップチャンネルにはない目線を与えることだなと。武井さんって「これで行きましょう!」と言い切って進めていく推進力と胆力がある一方で、感覚的なところもあるので(笑)、私は第三者として「武井さんのAに対して、Bという考え方もできると思うのですがどうですか?」と選択肢を提示していきました。

左から武井さん、CAPES西尾

武井:西尾さんは自身が責任者として物流センターを立ち上げたこともありますし、他社での立ち上げ支援をしたこともあるので、立ち上げの苦労やどのタイミングでどのような問題が発生するかなど、経験をもとに話していただいて非常に助かりました。私にとって立ち上げは初めてのことだったので、これまでの知見を活かして提言していただいて、抜け漏れがチェックできたのは非常に良かったです。

―新しい物流センター立ち上げは、初めての経験だったのですね。

武井:そうです。私がジュピターショップチャンネルに入社した2008年は、前の物流センターが新しく立ち上がったタイミングでした。その立ち上げには関わっていなかったので、当時から私もいつか物流センターを立ち上げたいと思っていました。そして、今回、前よりも大規模で難易度の高い新しい物流センターの立ち上げに関われることになりました。なかなか経験できることではないので、すごく名誉なことだと思っています。

―西尾さんに提言されて初めて気づいたことや、「確かにこの問題が発生しそう」と感じたことはありましたか?

武井:たくさんあります。特に契約関係。例えば、物流センターにクレーンを入れているのですが、その届出を行わないといけないとか、習志野市から船橋市に移転したので、役所への申請や契約が変わるとか。過去の実績から「市によっては申請を行わなくても良いかもしれないが、この書類は必要かも」「この申請が漏れているのでは?」といった、非所に細かい部分までチェックしていただきました。

西尾:立ち上げの前提として、この物流センターは非常に難易度が高いです。何によって難易度が決まるかというと、変更するものの要素数。ジュピターショップチャンネルの場合、まず場所が変わり、システムが変わり、機械と作業の方法もかなり変わった。変化が多くなればなるほど、トラブルが起きないように立ち上げるのが本当に難しくて。特に難しいのは省人化という構想で設計されているということ。つまり、人ではなく機械のマネジメントをしなければいけない点です。

人が怠けていたら注意して終わりですが、機械が止まったときにどう振舞うかということが最大のポイントになります。物流センター稼働前に武井さんと一緒にシミュレーションしたり、プランを立てたり、他社の失敗事例やケーススタディを組み合わせて筋道を整理していきました。

知見をつないでくれるのがCAPES

武井さんと西尾で物流センターをチェック

―改めて、立ち上げを振り返ってみていかがですか?

西尾:CAPESができることを大きく分けると、実務者の方のサポートと管理職以上の方のサポートという縦軸と、ノウハウの提供とリソースの提供という横軸でわけられた4領域。ジュピターショップチャンネルの立ち上げでは、このすべての領域を満遍なくやらせていただいたなと感じています。改めて思うのは、武井さん率いるジュピターショップチャンネルチームが非常に良いチームだということ。武井さんは、メンバーを鼓舞し、現場の作業スタッフさんとも距離が近く、常に目線を合わせようとされていました。率先してそのように振る舞う武井さんをとても格好良いと思いました。

武井:いろいろな人たちに能力以上の力を発揮していただかないと現場は回らないと思っています。私の振る舞いでスタッフのモチベーションを上げていけるのであれば、振る舞いを変えていけば良いと考えています。物流センター立ち上げ全体に言えるのですが、恐らく他の物流センターでも、私達と同じような課題が発生していると思います。なので、この立ち上げに関わっていただいた経験が、他のクライアントの支援に活きると思いますし、そのように知見をつないでくれるのがCAPESだと思います。

CAPESがいなかったら暗中模索でトライアンドエラーを繰り返していたと思うので、知見をシェアして活かしてくれたのはとても大きかったです。物流をより良くするためには新しい扉をたくさん開く必要があります。自動化自体も、テクノロジーの進化によって進んできているので、これからも新しいものを取り入れて、より良い物流センターにしていきたいです。

 

インタビュー・執筆・編集:飯嶋藍子
撮影:西あかり

インフォメーション

ジュピターショップチャンネル株式会社

1996年11月に日本初のショッピング専門チャンネルとしてスタート。ファッション、ビューティー、ホームグッズ、グルメなど、バイヤーが厳選した多彩な商品を24時間紹介。快適なお買い物を叶えるため、注文受付や商品出荷も自社対応。生放送ならではの臨場感と心おどるお買い物体験を届けている。

Twitter:@shopchannel
Instagram:@shopch.jp
公式サイト:https://www.shopch.jp/

武井純(たけい じゅん)※2022年3月現在

ジュピターショップチャンネル株式会社 物流本部 物流企画部 企画グループ所属。千葉県習志野市の茜浜物流センターを中心に5ヶ所にあった物流拠点を集約し、2022年4月に千葉県船橋市の三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅲ内に新しい物流センターを開設。新しい物流センター立ち上げを率いた。